池の恋、身代わりのAIロボット

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 池山は野乃がただ冗談を言っているだけなのかもしれないと安心した。 「当たり前よ」  野乃はほほえんだ。 「当たり前だな」  それを聞いて池山は安心した。 「話しは変わるけれど、どうして池山君が私と同じファミリーレストランで働いているのかわからないな」 「オレもアルバイトしたいのだよ」  池山は答えた。 「バイクか何か買うの?」 「特にないけど」 「まさか」 「考え過ぎだよ」 「何だ、違うのか」 「何が?」 「私目当てかと思った」 「違うよ」  彼は心を読まれたのかと思い少し怖かった。 「私目当てならうれしいのに」 「目当ては何だろう」  彼は高校卒業後に大学進学したかったが、アルバイトをしていた。 「ただ働きたいだけなのね」 「実は恋したのだ」  池山は告白しようとした。 「誰と」 「秘密」 「怪しいな」 「恋なのだからそっとしておいて」  彼は恥ずかしかったのだ。 「わかった」 「君だよ」  池山は本音を出した。 「私がどうしたの?」 「何でもない」  池山は野乃の気持ちはわかるようでわからなかったのだ。 「ここの通りも都会だね」
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