池の恋、身代わりのAIロボット

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 野乃は実感のこもった言い方をしたように池山には思えた。 「調布市から新宿に引っ越してきたのか?」  野乃に聞いた入学式直後にクラスの教室でした彼女の自己紹介を彼は思い出した。 「そうなの」 「なるほど、調布市に住んでいたのか?」  野乃の言っていたのを思い出して池山は聞いた。 「新宿区に祖母が住んでいるの」  野乃は答えた。 「それだから引越ししたの?」 「そうなの」 「彼氏になりたい」  池山は告白した。 「いいよ」 「君には彼氏いるだろ」  池山は少し悔しかった。 「何だ、知っていたのか?」 「知っているよ」 「どうして?」 「校内の公認カップルだろ?」  池山は自虐的だと知りながら言った。 「そうか」 「笑ってしまうよ」  池山は顔が強張るのを感じた。 「そうかな」 「校舎内で会ったらあいさつぐらいしろよ」 「いつのこと?」 「この前学校の玄関であいさつしたけど無視された」  池山は無視されたと思っていた。 「ごめん、気が付かなかった」 「気が付かないって?」
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