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姉、私の正念場
「間に合わせるから、私を信じて待ってて。絶対に大丈夫にするから」
電話を切り、手早くバッグを掴む。
モバイルバッテリーは昨日充電しておいた。
智子のため、妹の幸せと平穏のため、どうしても届けたいモバイルバッテリー!
この結婚を精神不安で逃せば、智子に次のチャンスはない。
これは私の姉としての正念場だ。
苦しみを見ていながら、大したことができない姉だった。
介護のようだと被害者意識を持ったこともあった。
だが今は、智子の幸せと未来を願って、二人の絆を壊さないために全力でペダルを漕ぐ。
モバイルバッテリーが間に合えば、私にも誇れるものができるだろう。
二人に感謝されたいと言うのではない。
自分自身との戦い。私のプライドが、私を突き動かしているのだ。
さあ、命をかけて、いざ行かん!!
(疾走)
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