3人が本棚に入れています
本棚に追加
イカルも馬から降りて後に続いた。屋敷に入ると治安部隊の隊員が報告してきた。
イカルは尋問の結果を聞いた。
「塩の権利書を探していたようです」
「やはりな。それで奴等の様子はどうだ?」
「こちらが問えば、何でもすらすらとしゃべったので、いささか拍子抜けしております」
「奴らは弛んではいるが、数で押してくるとやっかいだ。村人たちをしっかりと支援してくれ。君たちの働きに期待している」
イカルの言葉に隊員たちは敬礼で応えた。
イカルはその後ゲンブを呼び出し、二人とも仮眠をとって夜を迎えた。
その後、夜のはじめ頃に目覚めると、奪ってきた軍馬に跨がってハイラル方面に出かけていった。
未明に戻ってきた二人は治安部隊の隊員たちを集め、打ち合わせを始めた。
そして、朝日が昇った――。
「昨夜、野営しているハイラルの軍に夜討ちを仕掛けて混乱させ、時間を稼いだ。おそらく、奴等の先陣は今日の昼頃に現れるだろう。そこでだ――」
イカルは村人たちに作戦の指示を出した。
村人たちが対岸に移動すると、治安部隊の隊員たちは手分けして橋を撤去し、獣よけの柵を川岸からの登り口に移設した。
治安部隊のおかげで作業はあっという間に終わった。
全員の配置が終わった頃、ハイラル方面の街道から軍団が姿を現した。
「予想より早かったな。多少はできると褒めるべきかな」
とイカルが言うと、その横に並んでいたゲンブも頷いた。
ハイラルの先鋒たちが浅瀬を探して川を渡り始めた。
イカルが矢を放ち、小隊長を討ち取ると、それが合図となり村人たちも一斉に矢を放った。
最初のコメントを投稿しよう!