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凍らせたスイカは止められない
「で?誰がファザコンなんです?」
食後のデザートにと猫さんが一口サイズに切ってくれたスイカをつまみながら
一工夫してくれていたみたいで、シャーベットのようなシャリシャリ感がいつまでも続いている
種も見える範囲のものは取ってくれているのは、猫さんなりの気遣いだろう
「秋さんと冴香さん以外の皆…そうじゃないですか?」
優花さん、その確信めいた発言は何なんですか…
「まあウチはこの歳でパパって呼んでるから、ファザコンと言われればそうかなー?ウチ、スイカって苦手なイメージだったけど、これは幾らでも…」
シイさんは何やら思うところがあるのか、あっさりと認めた
そして新たなスイカに爪楊枝を刺していた
「描さん、これって切った後で冷凍庫に入れてたんじゃないですか?…まあ私は年齢的にもファザコンじゃあないけど」
幸せそうにスイカを頬張りながら、冴香さんが
ですよね…敢えて言うとブラコン?
「そう言う意味ではあたしもそうよね~?何と言ってもネコよりお姉さんなんだから!…でもこのスイカヤバいわ…止まらない…」
ですよね~
秋さんは猫さんと同い年ですもんね~
「あたしは…どうなんっすかねー?確かにししょーとは父娘ほど離れてますがー?そりゃああたしも?ししょーとどうこうなりたくないのかって言われたら、そんな事ないっすし」
あ、ハルさんが暗に認めた…
自覚無さそうだけど、両手に一本ずつ持った爪楊枝にスイカを…でも凍っているからそこまでハイペースでは食べられないみたい
かくいうあたしも優花さんもスイカに伸ばす手が止まらない!
確か大きな一玉を切ってくれたはずなのに凄い勢いでなくなって行く!
何でも猫さんが本島で偶々見つけて美味しそうなのを見繕ってくれたって…
その御本人はあたし達が食べるのをニコニコ笑いながら見てるばかりで、最初に一切れ食べただけだ
こう言うトコロなんだなー
実家のお父さんもこんな感じだったし
「あ、ファザコンって言ってもあたしのパパは除外!猫さんみたいに美味しいご飯作ってくれるわけじゃないし、ママに家の事任せっぱなしだし!…まぁママはあの調子だけど…」
冴香さんがうんうんと頷いている
何か優花さんのお母様に相通じるモノがあるみたいな感じ
あたし?あたしは…俗に言うファザコンがどんなのかよく理解出来ていないし、優花さんと同じで実のお父さんにそんなの感じたことないけど
猫さんがお父さん…いやいや!彼氏になってくれたら自慢しかない!
前の勤め先の病院でもあの短期間で諸先輩方や患者さんにバレバレだったみたいだけど
こっちに来てからアピールが足りてないのかな
余りにもストレート過ぎる秋さんやシイさんが来て、挙句にフィンランドからオリヴィアさんがお見合い話持って来るし
やっぱり改めて「届けたい」
この南国の太陽のように熱い思いを
秋さんや冴香さん達からだけじゃない、あたしのこの恋心を
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