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パラパラなチャーハンは作るには
「あたしと美優ちゃんとハルさんとシイさんってさ」
リビング?茶の間?で皆で猫さん特製チャーハンにスプーンを突き刺しながら優花さんが切り出した
特製とは言っても高級食材が使われているわけでなく、普通にチャーシューとお葱と玉子だけのシンプルなのだけど
猫さんが作ってくれるご飯は全部「特製」なんですっ!
因みに優花さんの話に耳を傾けているのはあたしだけで、他の皆さまはご自身の前のチャーハンと挌闘している…冷めない内にあたし堀井美優も食べたいんですけどね
あたしの隣で秋さんだけは何故か特盛を、あたし達の倍は入っている、大皿を「掻っ込む」の表現がピッタリ来る勢いだけど、あの細い身体の何処に入っていくのかナゾだ…
「一種のファザコンなんだと思うのよね!」
…それは否定しませんが、チャーハンに突っ込んだスプーンを振り回すのは…とても上流階級のお嬢様の所作とは思えないんですが
あたしも優花さんの対面でチャーハンに取り掛かる事にする
一匙掬って口に運ぶ…美味しいぃぃぃ♫塩胡椒に香りだしのお醤油が絶妙!
「は?優花ちゃんファザコンなんですか?それは初耳ですねぇ…ん?その割に常務から店電に泣きの電話がしょっちゅうかかってきますが…はい、これ、今日はシンプルに冷製のコンソメスープにしました。それとお口直しにお新香の胡瓜の浅漬け」
我が家の大黒柱にしてあたし達全員の想い人、猫さんがスープカップをサーブしてくれる
浅漬けは…残念ながらインスタントだ、この前浅漬けの素を頼んでらしたから
冷製、か…
そこに引っ掛かるモノがある…あの完璧美人の冴香さんは猫舌なのだ…明らかに冴香さんに合わせたメニューだろう…悔しいけど
「…描さんいつも気を使ってくれてありがと♫冷ましながら飲むから普通のでも良いですよ?…他の皆の目が怖いし…秋ちゃん以外の」
冴香さんがケラケラ笑いながら…
は!
無意識に向かい側の冴香さんに目が行ってた?す、すみません…
「ちょっとネコ!チャーハンがパラパラ過ぎて油断してたらこぼしちゃうんだけど!」
「そっすよ!ししょーのチャーハンは美味しいっすけど、上品に食べないとダメっす!」
大皿から顔を上げた秋さんとハルさんから微妙なクレームが…
こんなパラパラなチャーハンって、中華屋さんレベルの出来だと思うんですけど…
「何言ってるんです?秋ちゃんがお店レベルのチャーハンが食べたいって言ってくれたんじゃないですかぁ…それにハルだって同意してたじゃないですか…って、ほっぺにごはん粒付いてますよ?上品に食べてたんじゃないんです?」
呆れた事に今日の夕飯のリクエストは秋さんとハルさんだったのか!
成る程、カフェに普通のフライパンがなくて中華鍋しか無いのと、異常に火力が強そうなコンロなのはこう言う時の為だったのか…
あー、でも美味しい…後で喉が渇くかもだけど
「パパぁ、お代わりあるぅ?」
あたし達の中で唯一黙々とスプーンと口を動かしていたシイさんが…ハルさんの頬に付いていたごはん粒を摘んで食べながら
…確かハルさんの方がお姉さんだったような…
「ありますよ~、でも数には限りがあるのでお早めにね?」
「よっしゃ、お代わり一番乗り!」
猫さんの言葉にシイさんが脱兎の勢いでカフェに向かってダッシュした…
もちろん、お代わりのほしい秋さんとあたし以外のお姉さん達が食べるペースを上げたのは言うまでもない
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