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たった今、堀伊賀守と密談していたのは根来の本山から送られた精鋭の中の精鋭である選ばれた忍術僧たちであり、この任務を見事達成した暁には秀吉によって焼かれた根来寺を紀伊の領主徳川頼宣に頼んで再建してもらうという約束を、老中土井大炊頭から頂戴している。
つまりは宗派の悲願を叶えるために、七人の忍術僧ははるか宇都宮までやってきたというわけなのであった。
もちろん、忍術とそれに付随した武力について自信満々の法師たちである。
ゆえにこの任務もたやすくなしとげることができると過信さえしていた。
多髪坊(たはつぼう)。
無厭坊(むえんぼう)。
一黙坊(いちもくぼう)。
毘藍婆坊(びらんばぼう)。
藍婆坊(らんばぼう)。
黒歯坊(こくしぼう)。
速疾鬼坊(そくしっきぼう)。
それぞれ法華経に登場する十羅刹女――十柱の女性の鬼神から名をとった根来寺の秘蔵の忍術僧である。
どんな忍びでも勝ち目がない無類の力を有するものとして厳選された魔人どもであった。
だからこそ、この新城下町普請にわく宇都宮において、自分たちがとある剣士と血風渦巻く死闘を繰り広げることになるとは、彼らとて想像もしていなかったのである……
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