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眼前の同胞たちが、自分とは違い、根来寺の間諜も務める忍びであることを思い出し、周囲をキョロキョロと見渡す。
誰にも聞かれてはいないか確認したのだ。
「気にしなくていい。宇都宮藩士に聞かれたとしてもたいした厄介ごとではない」
「そ、そうか」
「それよりも阿含坊、うぬに聞きたいことがある」
そういうと藍婆坊は用件を切り出した。
本多家に忍びの彼らが探れるようなネタがあるかどうかということをだ。
阿含坊も最初は戸惑ったが、自分たちが正純の監視に来た身分であることを思い出し、身内の忍びが似たような任務を帯びていることを瞬時に理解すると、阿含坊は頭をひねって考え込んだ。
酒で澱んでいても、その程度の頭は働く。
すぐに、一つ二つ思いついた。
「蓮池堀にマキビシが撒かれた。おそらく、忍び除けだろう」
「いつだ?」
「昨日だな」
「それは拙僧らへの対策であろうな」
「十中八九。……だが、それは構わん。たかだかマキビシに邪魔されるおれたちではない。他にはないか、阿含坊」
もう一度首をひねり、ぽんと手を叩く。
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