神様の話

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 しかし残念ながら神の思惑通りにはいかなかった。  「なんで自分は悪役令嬢だと思い込んじゃうんだ…」  おかしな具合に知識を活用したせいで自分を悪役令嬢だと思い込み、謎の行動をし始めたのだ。今のところはまだ大きな影響は出ていないけれど、このままでは話が大きく捻じ曲がってしまう可能性がある。 「どうしたって逃げられないんだけどなぁ。」  元々の環境で、ヒロインは周りから好かれるようになっているのだ。それをもってしても有り余るくらい性格が悪かったり、大きな失態を働いたりすれば嫌われることだって十分あり得るが、残念ながら日和見派彼女のように逃げ回るだけで嫌われようというのは難しい。  むしろ、それを捕まえようとして躍起になったり… どうにか最初の攻略対象との出会いだけでも成功させようと夢の中で話をしてみたが、どうにも心に響いていないようだった。  「まあ、なるようになるかな。」  もはや神はこの世界をコントロールすることを諦めていた。
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