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次に目を覚ましたのは、もう何もかもを思い出したあとだった。
なかなか起きてこない私を心配してジーナが見に来たところ、頭を抱えたままベッドの上でうずくまっていたらしい。
そのまま高熱を出した私は一人ベッドの上でうなされることとなった。
その間、なにか夢をみたような気もするし、ただひたすら真っ暗な闇の中にいたような気もする。
そうして目を覚ましたときには、10年間アストリアとして生きてきた今世の記憶とともに、日本でOLとして働く女性であった前世の記憶が私のなかにしっかりと根付いていたのだ。
前世では乙女ゲームなるものをプレイした経験がなく、どんなストーリーか、誰が攻略対象か、全くわからない。
こういうのって普通は詳しい人が転生するのだと思っていたけど。
しかし、いわゆる転生ものと呼ばれるような物語は、ばっちり履修済みだ。仕事で疲れた日々の癒しとなる存在として、様々な小説サイトをめぐり、読み漁っていた。
そして、その経験からいけば、きっと──
「私、悪役令嬢に転生したんだわ」
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