あなたと話したい

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「私がずっとハリスを好きだったのに気づかないなんて鈍感すぎるし、普通女性はならない料理人なんかになって……仕事が楽しくて大事だって笑ってて。そういうの男の人のプライドを傷つけるんだよ。そもそも、たった一度の浮気を許せないなんて、アンナはハリスが好きじゃなかったんじゃない? もっと寛大になってあげなよ」  彼女の身勝手すぎる言い分に怒りを通り超え、頭が真っ白になった。人間、ここまで怒りを覚えると、もはや何も頭が回らなくなるらしい。  ミランダがハリスを好きだって確かに気づかなかったけど、気づいていたからどうなったというの? 仕事が充実してて何が悪いの。好きじゃないから許せないんじゃない、好きだから許せないのに!  言いたいことが多すぎて何も口から出てきてくれない。  ミランダはふっと息を吐いて笑う。
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