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「ハリスが、アンナの居所が分かった、って言ってて」
「……ハリスから聞いたの?」
「うん。アンナに謝りたくて、数日前からこの街に一緒に来てるの。アンナとハリスが再会したときは、たまたま別行動してたんだけど」
頭からバケツの水をひっくり返されたようなショックを受けた。
ハリスに何かを期待していたわけではないが、まさか当時の浮気相手に私の居場所を教えたうえ、二人で私を探しに来るなんて……こんな無神経なことをやってのけるなんて、彼はそんな人間だったのか。私にとってハリスもミランダも、二度と会いたくないトラウマの原因なのに。
もしや、昨日来た男女二人組とはーーハリスとミランダのこと?
私は洗濯籠を拾うと、慌てて家に入ろうとするが、ミランダが立ちはだかる。
「待ってアンナ。一度ゆっくり話しましょう。あの夜のことを謝らせて」
「謝ってどうこうなるわけじゃないから……もう顔も見たくないの」
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