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「私から誘ったの、ハリスは悪くない。私はずっとハリスが好きだった……でもアンナと結婚するって分かって、もう叶わない恋だと知った。だから、一度だけ思い出が欲しいと頼み込んだの。ハリスははじめ断っていたけど、私がどうしてもって言ってお願いを聞いてもらっただけだから」
「もうやめて、聞きたくない!」
私は大声を出してミランダの言葉を止める。何を言われたとしても、私にとっては言い訳以外何者でもない。婚約者がいるのに、その婚約者の家に浮気相手を連れ込んでいた……回数だとか経緯だとか、そんなものは私にとってはどうでもいいことなのだ。
とにかくもう新しい道に進みたい。二人を忘れたい。それしかない。
「何を言われようともう過去は変えられない……帰って」
ミランダを避けてドアに向かおうとするが、またしても彼女が私の前に強引に立ちはだかる。その顔を見ると、なぜか怒っているような無表情だった。
「アンナ。こんなこと言いたくないけど、アンナにも悪い所はあったと思うよ」
「……何を言ってるの?」
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