びいどろ玉

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◆◆◆ 佐野は、届いた『そろそろ花火の場所取りに行こう』というメッセージを見て、イカ焼きを買うのに付き合わされていた日高と一緒に皆のいる場所まで戻った。 集合場所は土手の階段下だったが、一人足りない。 一瞬誰がいないのか分からなかったが、月島だと気づいた。 「月島はまだ来てねぇの?」 「そういや遅いな。メッセージも既読になってねぇし。」 電話入れてみるかとスマホを手にしようとした時、ふと穂高が言った。 「高木、月島と話してなかった?どこ行ったか分からん?」 その言葉に、高木はバツが悪そうな顔をした。 「えーと…、確か休憩スペースの方に行くって言ってたと思う。」 目が泳いでいるところを見ると、後ろめたい事がありそうだ。 今はそれを詰める場面でもないか…と抑え、月島の様子を見に行くことにした。 「アイツ連れてくるから、先に場所取りしてて。」 また人混みの中に戻り、高木の言っていた場所まで向かう。 花火の上がる土手の方に歩いてくる人ばかりだ。 人の流れに逆らって進むのは中々骨が折れた。 それでも何とか休憩スペースの近くまで来ると、ふんわりと甘い香りがしているのに気づいた。 アルファならすぐに分かる、オメガのあの香りだ。 周りにいる他の人も、何人か辺りを見回している。 (…もしかしてコレ、月島じゃねーよな。) 電話をかけてみるが、一向に繋がらない。 月島の可能性がある以上、流石に放っておくのは気が引ける。普通に心配だ。 それに次学校に行った時に、同級生が性被害を受けたなんて話が出回っていたら、一緒に祭りに行っていた俺たちが気まずい。 香りを頼りにあちこち歩き回り、十数分ほど経った頃、一気に香りが強くなった場所があった。 出店裏の、木々が生い茂っている所だ。 急いでそこに行けば、男が何かに覆い被さっているのが見えた。 嫌な予感がして走り寄る。 「おい!」 首根っこを掴んで後ろに引き倒すと、男の下に月島の姿があった。
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