病室

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病室

病室の窓から差し込む薄い光が静かな空間を包んでいた。私の手を握りしめる彼女の目には、涙が光っている。 余命一ヶ月と宣告された彼女は衰弱していく身体を横たえていた。 彼女は思い出を語りかけるが、声は震え、 心の奥底には後悔の影が落ちていた。 「もっと早く気づけばよかった…。もっと早く、あなたを大切にしていれば…」 彼女の声は、切なさに満ちていた。 私は微笑み、かすかな声で言った。 「そんなこと、気にしないで。私たちは十分幸せだった」 しかし、その言葉は彼女の胸にさらに重くのしかかった。 二人の間には、言葉にできない後悔が漂っていた。 もっと時間があれば、もっと愛を伝えられたはずなのに。彼女は私の手を強く握りしめ、心の中で何度も謝罪した。 「ごめんね、愛しているよ」 私の瞳が閉じられ、部屋は再び静寂に包まれた。 その瞬間、彼女の胸には深い後悔が残り続けた。
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