まちあわせ

1/1
前へ
/15ページ
次へ

まちあわせ

海辺の街に、私は彼女と待ち合わせをしていた。 鐘の音が風に乗って響き、静かな波音が耳をくすぐる。 夏の終わりを告げる夕暮れ、オレンジ色の空が広がり、海面がキラキラと輝いていた。 私は教会の前で彼女を待っていた。 彼女とは2年前、この海辺の街で出会った。 彼女の笑顔は太陽のように眩しく、私は一瞬で彼女に心を奪われてしまった。 今日はその思い出の場所でデートの約束をしている。 ふと、教会の門が開き、彼女が現れた。 風に揺れる彼女の髪が美しく、私は息を飲んだ。 私に微笑んで手を振るその姿に胸が高鳴る。 「待たせてごめんね」と彼女が言う。 私は微笑みながら首を振った。 「ううん、全然。ちょうど私も来たところ」 二人は手をつないで、波打ち際を歩き始めた。 夕日が沈むまで、私たちは海辺を散歩しながら、 未来のことを話し合うだろう。 教会の鐘の音とさざなみの音が、 私たちの声を包み込むように響いている。 この瞬間が永遠に続くように願いながら、 私は彼女の手を強く握った。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加