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《SSRリナ》
豊口が所望しているスターブレイズのSSRのリナちゃんを手に入れる為、来夢はゲームをインストールした。
出てきたのはトップアイドルを目指して日々奮闘している可愛らしい女の子たちである。来夢がげんなりした顔を見せた。
「えー、なにこれ。これのSSR取るんでしょ? 無理に決まってんじゃん」
「SSRはわかんないけれど……、まぁ頑張ろうよ。僕もやってみるし」
「ビリーも協力してくれてありがとね。――優しいね」
「えへへ。まぁ頑張ろうよ!」
褒められて嬉しくなったビリーはスマホを片手に初の音ゲーに挑戦することにした。リズム感とテンポ感を大切にしないとならない音ゲーはビリーにとっては至難の業である。
だだ、なんと来夢は涼しい顔をしていた。
「なにこれ。音とテンポがまるで合っていないじゃん。女の子が可愛いだけじゃん」
「まぁまぁ……。でも来夢ってすごいね。僕、全然できないよ」
「私がやってる音ゲーの方が難しいからかな。って、お~ガチャ出た。よし、お願いっ! 出て!」
スマホをタップして出てきたのはノアという女の子の制服バージョンであった。来夢が太い息を吐く。
「え~、こんなつまんないゲームやるの~。嫌だよ~」
「あはは。というか、僕にも教えてよ! もしかしたら僕の方に出るかもよ?」
「そんな都合が良いわけないじゃん。まぁでもいいや。――ちょっと貸して」
ビリーのスマホに置いた指と指が触れ合う。「あっ……」来夢が声を漏らしたが、ビリーは嬉々としていた。
「早く来夢やってみて! うわぁ~、楽しみだ」
「……はいはい。まったくも~」
来夢が選曲した曲はアニメ界では有名でノリのいいアニソンであった。タップをしていく来夢にビリーは身体を揺らしながらリズムに乗る。
曲が終了した。結果は満点だ。
「すごいっ! 来夢すごいよっ!」
「いえいえ。あ、ガチャが出た。よーし……」
祈りを込めてガチャを回す来夢であったが――動きが止まった。何事かとビリーは思う。
すると出てきたのは金髪碧眼にナイスバディな白潤の美女が水着でポーズを取っている姿が映し出されていた。――SSRリナと明記してある。
「やった……。やったよーー!!」
「良かった~。これで渡せば豊口さん、喜ぶね!」
「うん。で、でも……。これ、ビリーのスマホなんだけどね」
「あ……」
間が空いたものの二人は肩を揺らして笑っていた。だがSSRリナはプレゼントとして送ることができたので、ビリーは来夢のスマホに転送できたのだ。
「これで豊口さんに渡せるよ! ありがとう、ビリー!」
大輪の花のように笑う来夢が可愛らしくて見とれてしまった。
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