第2章「暗がりのなか」

5/5
前へ
/23ページ
次へ
「うわわわわ!!」  靴が地面を擦る。 さほど痛くはないが、恐い。でもこの両手は離せない。ここまできたんだ。何としてでも乗ってやる! ……とは言っても、この状態から列車に昇る力は僕にはなかった。 列車が止まるのを待つしかない。 ……いや無茶がある。まさに神頼みだ。 他に助かる方法は……人の助けを待つくらいか。 いやそれも無茶だ。こんな後方の車両だ。人っこ一人いない。 いたとしても鉄道員かもしれない。それはそれでアウトだ。 ああ、もう終わりだ。神なんかいないんだ。また一つ学んだ。  ところがこれ以降、僕は神を信じる事となる。 「おい!大丈夫か!?」 「!」  車両の真上から、カウボーイハットを被った若い男が顔を出した。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加