第1章「始まりの汽笛」

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 すっかり日が沈んだ。 周辺から枝や葉を拾い集め、ライターで火を起こした。 今日はもう寝よう。明日こそ列車に乗ろう……。 バッグを枕代わりに、横になる。 寒くはない。ただ、少し寂しい……。 星の少ない夜空を眺めながら、今朝のことを思い出してみた。 「……後悔はしていないさ」  いざ眠りにつこうとした、その時だった。 ――シュッ……シュッ……。  微かに聞こえた、レールをひた走る汽車の音。 本日の最終列車が、すぐそこまで来ていた。
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