第2章「暗がりのなか」

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 すっかり目が覚めた。僕は荷物をまとめる。 目立たぬよう火を消し、音のする森の方へと目を向けた。 坦々と列車が近づいてくるのが分かる。驚いた鳥達が夜空を舞っている。 こんな暗い中で乗れるわけがない。そうは思った。 でも、できることなら今日中に乗りたい。 駄目だったら駄目だったで、明日があるじゃないか。 僕は気楽になった。そうする事で、今朝のある騒動による罪悪感から逃げようとしていたのかもしれない……。  真っ黒な森から、夜行列車が姿を現す。 なんだ。各所にカンテラを灯していて、結構明るいぞ。 これはいけるかもしれない。 これまでもそう思って失敗してきた訳だけど……。  線路から10数メートル離れ、貨物車両の位置を探しているうちに、ある事に気づいた。 速度が遅い。少なくとも昼間の列車よりは。 なぜかは考えなかった。願ってもないチャンスだ。 なんだか一層自信に満ち溢れてきたぞ。 さあ、ホーボーデビューだ。
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