第2章「暗がりのなか」

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 毎度のこと足を軽くほぐす。そして前回とほぼ同じ位置で待機。 貨物車両の位置は確認できた。ほとんどだ。前方の数両が乗客用。その後ろはほぼ全部貨物車両だ。 それだけチャンスが多いと言える。つい笑みがこぼれる。 「よし……やってやるぞ!」  オレンジ色の明かりを揺らしながら、いよいよ列車がきた。 僕も駆け出す。 確かにゆったりとしたスピード。それでも僕の全力疾走よりは速かった。 列車の速度に合わせ、手すりを掴むタイミングを確認した後、とうとう貨物車両が僕の横に顔を出した。 ちょうど前方の扉付近にカンテラが掛けられていて、手すりもよく見える。 いける。いけるぞ。 しかし、相変わらずショルダーバッグが暴れる。 「ああ、もう!!」  何を思ったか僕は、そのショルダーバッグを手すりの上部目がけて放り投げた。 そして見事、上部の出っ張りに引っ掛かった。 よし、荷物を乗せることに成功した。僕を置き去りにして。 ……馬鹿なことをした。 あのバッグには僕の旅の必需品、全財産が入っている。何としてでもこの列車に乗らなければならなくなった。
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