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*《快感》
距離を詰められた拓真は行き場をなくしベッドに腰掛けることしかできない。ただ、それでも含み笑いを見せる玲央は急接近する。
かぼすの香りとシャンプーの香りがするのと心臓を跳ねさせたかと思えば、温かい体温に触れられた。しっとりとしていて筋肉質だが柔らかい。
「れ、玲央? なに……?」
「エッチな夢を見たんでしょ。それでエッチな子を紹介して欲しい……と。でもさ、――たかが童貞の拓真くんがリードできると思うの?」
耳元がこそばゆい。その息遣いに興奮する自分が居た。
玲央はわざと色気のある声を出している。女の子を魅了させるような、そんな心地よく緊張感を伴わせるようなその声で。
「それは、あの……エッチな子がリードして、くれたらな……って」
「へぇ~、結構他人任せなんだね。さすがは童貞だ」
ムカつく言葉を言われているのに耳に触れている体温が熱くて反論ができない。押しのけようとしても体格差や力が下回っているのもあるが――この甘い雰囲気に呑まれている。
耳元に唇が近づきリップ音を奏でた。身体全体が魚のように跳ね上がる。そのまま手が首筋を通って肩を通り――そっと押されてしまった。
身体がベッドに寝転んだかと思えば、覆いかぶさるのはニヒルな顔をした肉食獣の姿。だが自分はその肉食獣に食べられてしまいたいと思っているのか。
「あは、勃起しているね。拓真くんが変態だなんて思いもしなかったよ」
「ちがっ、あの……生理反応だし!」
「男に興味があるの? それとも、――俺に興味がある?」
真っ赤な舌をちらりと出し、ハーフパンツ越しに局部をやんわりと掴まれる。全身に電撃が走るような感覚を覚える。
パンツ越しがじわりと濡れてきた。
「い、いやぁ……、お、俺、あの……」
「ズボン越しで触れられるのも良いでしょ? 直に触ってあげよっか、変態拓真くん?」
身体は痺れて動けない、反撃できないのにもかかわらず局部は痛いほど硬直していた。自分が弟にさえ欲情し、勃起させてしまうことが恥ずかしくて堪らない。
「ご、ごめ……んっ、俺、情けないよっ……、玲央のこと、弟として見ているのにっ……」
「いいんだよ、拓真。謝ることないよ。……気持ちいいは良いことなんだよ?」
ズボンも染み付きパンツも下ろされた先は使い慣れていない童貞の証。真っ赤に熟れて透明な汁をだらだらと汁を流している。
玲央は変態で可哀想な拓真自身に触れた。――拓真が脈立つように震える。
「こうやって、触るの良いよね。擦る感じがすごく良いと言うか、さ」
「んぅ……、やぁっ、あぁ、うぅ――」
「気持ちいい? もっと先端を触れみよっか」
「あぁ、うぅ……ひぃっう、はぁっん――さわってぇ?」
自然と涙が溢れ貧相な願いを請いてしまう自分が堪らないほど稚拙で羞恥を抱いてしまう。
それでも射精したくて堪らない。――自分でされるより、他人にされる快感に酔ってみたい。
「いいよ、触ってあげるから、っね!」
強弱を付けられて先端から奥まで上下に扱かれたおかげで、息遣いと共に拓真は果ててしまった。
だが同時に罪悪感も抱かせた。――愛しい弟の手を汚してしまったのだから。
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