8人が本棚に入れています
本棚に追加
*《寝込みを襲う》
今日は土曜日であった。夜勤明けでもあるし、のんびりといきたいところだがそうはいかない。
拓真はパソコンで街コンのサイトを探し出し値段設定を見ていった。女性はどうしてだが安いが男はその倍以上を出さねばいけないことに絶句する。
ただ童貞を捨てるためだと言い聞かせ、拓真は比較的安く済む地元から30分ほどの場所にある立食パーティーに参加をすることにした。
スマホで通知音を流しスピーカーにした。「はい」昨日と同じ声が出る。
「修作見つけたぞ、街コン! あとでサイト送るからな」
「はあ、って俺はパスにするって――」
「参加しなかったらもう小説読まないけどいい?」
修作が押し黙った。沈黙が流れ込んだが「……わかったよ」息を吐き出して承諾する。小説を読んでおいて良かったなと痛感した。
「じゃあ場所はあとで送るからな。あっ、ちなみに一人8000円ね」
「えっ、たかっ!?」
「じゃあそういうことで」
断られる前に電話を切った拓真はパソコンの電源をスリープにしてベッドに横になった。
明日は出勤なのでうだうだしていたらもう昼過ぎである。布団を干さないとな、などとも思うが身体が言うことを聞かない。
「ふわぁ~、眠い……」
生欠伸をして横たわればいつの間にか熟睡していた。
夕方頃、サークルから終わった玲央はまたシャワーと風呂に入ってから母親に拓真を起こすように言われたので部屋に向かった。
「拓真~、母さんが今日はオムライスだって――」
言いかけた瞬間、目の前には薄い腹を出して寝こけている可愛らしい兄の姿がそこにあった。身を捩らせてベッドから落ちそうになっている華奢な兄の身体を持ち上げる。
「んぅ……、ふふっ……!」
「どんな夢でも見ているのかな、拓真くんは」
抱え直してベッドに戻したかと思えば玲央は拓真の腹を撫で、ゆっくりと触れていく。そこから上へと目指した。
目指すのは淡いつぼみ。寝巻のTシャツを捲ったかと思えば自分の焼けた肌とは違う純白の肌と共に――赤く熟れた花びら。
「自分で弄ってんのかな、変態拓真くんは」
片方を手で優しく触れて時折強くした。拓真が身体を波立たせたのでTシャツを元に戻して離れる。
拓真の乳首を触れた瞬間に身体を仰け反らせたのが可愛かった。だが当の本人は目を覚まし、擦りながら「あれ、玲央なんでいんの?」などと気が付いていない様子である。
拓真の鈍感さには息を吐くのが止まない。
「なにため息吐いているんだよ? 意味がわからん」
「……勃起している張本人がなにを言う」
「え――」
下を見た拓真がズボン越しで勃ち上がっている自身を見つめては玲央を追い出した。
追い出された玲央は脳内で『拓真の身体は敏感』そう記しておいたのだ。
最初のコメントを投稿しよう!