0.同居への誘い

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「……そっか、残念だな。夏生君の焼いたピザ食べられなくなくなるなんて、明日からなにを楽しみに生きていけばいいの……」  料理だけじゃない。これからは夏生くんにも会えなくなるのだ。 私は密かに彼の存在に癒されてきた。 辛いことがあった時も、彼の笑顔を見るだけでどん底から浮上できたのだ。 かわいいと言われればその気になり、頑張れと言われれば頑張れた。大丈夫と言われたら不思議とそんな気になれた。 私は夏生くんの言葉にどれほど救われたか分からない。 「そんなに悲しまないでください」  申し訳なさそうな夏生くん。そんな顔をさせたいわけじゃない。でも、 「無理だよ。哲夫とも別れて、夏生くんもいなくなって……」  自然と涙がこみあげてくる。 何なら恋人だった哲夫と別れた時よりも悲しいかもしれない。
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