1.同居はじめます

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1.同居はじめます

 あの日から二週間が経った。 久しぶりに晴れた土曜日の午後、夏生くんは大きなスーツケースひとつ抱えて現れた。 「こんにちは董子さん」 「いらっしゃい、夏生くん」  初めて見る夏生くんの私服は若者らしくとてもカジュアルだ。 白いTシャツに黒いパンツ。靴は有名スポーツブランドのスニーカー。 店ではしっかりとセットされていた髪も無造作に下されていて爽やかな雰囲気でとても素敵。 営業中には見ることができないオフの顔に心ときめいてしまう。 正直この同居は取りやめようかと悩んだ。でも、ひとりの夜は寂しさが募るし、何より夏生くんに会えない日々が辛すぎた。 欲望と理性を天秤にかけた結果がこれだ。 ああ、なんて罪な私。どうかお許しください。  
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