1.同居はじめます

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「素敵なマンションですね。インテリアもウッド調で統一されてて落ち着くし、董子さんらしい部屋だなって感じがします」 「そう? ありがとう」  さりげなく褒めてくれてる。これぞ私が求めている癒し。 たとえ社交辞令だとしても、リップサービスだった哲夫と天と地の差がある。 「夏生くんは向こうの部屋を使って。寝具のリネン類は新調してあるから安心して」 「ありがとうございます」 「荷物は、これから増える予定?」 「あまり増やさないつもりです。とりあえず、スーツケース(これ)置いてきちゃいますね」  ミニマリストなんだろうか。とはいえ、これから暮らしていくうちに物は増えるだろう。 まだ哲夫の荷物が残っているから早く処分しないといけない。例えば、リビングのダッシュボードの中にある古いアダルトDVDとか……。 「もう、どうすんのよ! こんなの夏生くんに見られたくない」  何度言ってもプレミア物だとか言っちゃって捨てなかったくせに、置いていくってどういう神経? ふざけんなっ! 私は力任せにバタンと戸を閉めた。
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