アイドルの生声

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アイドルの生声

 もう何回、聖修が出ているアイドルのDVDを見たんだか分からない位、俺は見ていた。  一先ず洗い物や洗濯をしてから見ることにしよう。  そう決めると先ずは洗濯から始める。  洗濯物を洗濯機に入れた後に洗い物を済ませ洗濯が終わるまでの間、聖修のDVDを見ることにする。  俺の部屋はリビングと部屋と繋がっていて一応、敷居はあるのだけど、開けておいた方が広く感じるから開けている。  だから部屋は八畳とベッドを置いたら狭い位だけど、そこを開けておくことによって広く感じられた。  後、家電にはこだわりがあって最新家電が出れば、ボーナスや貯金で最新式のを買うようにしている。  掃除機だって今流行りのお掃除ロボットだ。  本当にお掃除ロボットというのは便利で、ほっといても勝手に部屋内は綺麗になってくれる。  酔って帰って来てベッドまで行けなくても、床は綺麗だし休みの日はこうしてゆっくりDVDを見ている時間にもお掃除してくれている。  家事をするのは洗濯と洗い物だって言っても過言ではない。  まぁ、洗濯だって今の時代は全部機械がやってくれているって言っても、過言ではないのだから、休みの日の俺がする家事は実際あまり無いのかもしれない。  俺はそこに物を入れれば後は勝手にやってくれるのだから。  テレビだって大きくて音にもこだわりがあった。 スピーカーもいいのにはしているのだけど流石にマンションだから大きな音にはしていない。 ただ綺麗な音で聞きたいだけだ。  そこで思い出したことがある。  確かに昨日と今日と聖修の生の声を聞いていたのだけど、スピーカーで聞いていても、やっぱり生の音は全然違う! 生の声とは違う! マイクを通して聞こえてくるエコーがかった声ではなく、ちゃんとした地声なのだから逆にそれがいいという事だ。  そこはやっぱり生の方が全然いい!  本当に生の声は耳に心地よいという表現がピッタリなのかもしれないのだけど、スピーカーから聞こえて来る聖修の声はやっぱり違う。 「あ、違う……」 そう改めて気付いた瞬間だった。 「もう一度、生の声が聞きたい……。 いや、何回でも聞いていたい……」
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