ぼっち行動

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ぼっち行動

「でも、ほら……神楽さんとはお隣さんになった訳ですし……同じ同性同士なんですから、そういう深い話してもいいんじゃないんですか?」 本当にとんでもない事を、こう簡単に口にしている聖修。 またきっとお茶とかを飲んでいたら確実に噴き出したくなるようなことを、スラスラと言って来ているのだから。 いやしかし聖修とは、まだ知り合いになって二日目位なのに、もうそんな深い話をしてもいいもんなんだろうか? と思うところだ。  だけど、そんな事お構いなしという感じなのか聖修は話を続けていた。 「それに、神楽さんは私のファンなんでしょ? ファンの子達の意見とかも知りたいですしね……」 「……って、俺は殆ど一人で行動していますよ。 だって、周りに聖修さんのアイドルグループのファンの人がいる訳じゃないですしね……他の人のことは分かりませんよ」 普通の質問に俺はそう普通に答える。 「そうだったんですか? 一人で行動してたんですね」 「そうそう……ライブとかに一人男だけで、しかも一番前にいると、女性達には白い目で見られているというのか……。 そんな感じなんですけどね……ま、そこは気のせいなのかもしれませんけど。 こう何となく周りの雰囲気っていうか……空気がというのか……俺が勝手に思い込んでるだけなのかもしれませんけど……それでもこうなんていうのかな? あの女性特有の人の事を見ながら内緒話されている姿を俺は何回も見てますから」 「ま、確かに……私達のアイドルグループというのは、どちらかというと女性向きな感じですしね。 見た目もそうですが……中身も……っていう感じでしょうか? 確かに私達のアイドルグループっていうのは、女性向けっていう感じに意識してますしね。 私なんかは銀髪に眼鏡を掛けて王子様みたいなイメージですし……メンバーの中には可愛い感じの子もいたり、爽やかカッコいいイメージの子がいたりして、イメージ的には女性の理想のタイプなアイドルですからね」  ……あー、やっぱり、そうだったんだー。 だから、聖修のライブに行くとホント女性のファンばっかだったからな。 まさか、俺って何気に女性思考なのかな? だから、聖修のファンになったのかな? って、聖修が今言ってたけど聖修のイメージって、王子様だったんだなぁ。 「そういうことです……。 でも、俺は本当に聖修さんのことが好きで、ライブは欠かさず行ってます!」 「うん……だから、いつも私は神楽さんのこと見てましたよ……。 そうそう、逆に神楽さんは舞台から見ていると他の誰よりも輝いて見えてましたから……」 ……へ? どういうこと!? 確かに俺は一番前で聖修のことは見てたけど……。 「誰よりも私のことを応援してくれていて……女性のファンの子達よりも声が私にまで聞こえてきていて……なので、私は神楽さんのことは気になっていたんですけどね……」 「へぇ、あんなに人がいる中で、聖修さんは俺のこと見ていて下さったんですか?」
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