僕の隣に住む住人は憧れのアイドルだった！

平凡な生活から一変

「……へ？」

　俺はそんな聖修さんの言葉に再び裏声を上げてしまっていた。

「可愛いって……本当に私からしてみたら君は、お姫様のように可愛いってことなんだけど」
「……へ！？」

　……そ、それは、もっと可愛い女性に向かって言うセリフですよ……そうそう、特に自分のファンの女性に……うん。　俺なんか全然可愛くないし！　しかも、俺は完全に男だし！　流石に可愛いって言われるのは……違うのかなぁ？　でも、俺はある意味、乙女チックな考え方を持っている男だから、可愛いって言われる方がいいのかな？

　と『可愛い』と言われてしまった事で変に悩んでしまっている俺。

「って、お姫様って知ってる？」
「まぁ……」

　そう可愛く聞いて来る聖修。

……って、そんな質問しなくても普通誰でも知ってるだろー！　あ、いや……流石に一部の男性とかは、そういった本とかを読まない限りは知らないのかな？　ま、一応、俺は知ってるけどね。

「何ていうのかな？　君は意識してないのかもしれないけど……私からしてみたら、完全にお姫様って感じなんだけどな……可愛くて、守って上げたいと思ってる位にね」
「……へ！？」
「君はまだ私のこと分かってくれていないのかな？　本当に私は君のことが好きで……好きで……ずっと、舞台の上から君の姿を見ていたんだよ。 君が観客席から私のことを見ていたみたいにね。 で、たまに君が来れない時もあったみたいで、その時のライブは失敗っていうのか……歌詞を間違えたりもしていたかな？」
「そういうこともあるんですね」
「……って、他人事のように言ってるけど……私は君がライブに来てくれないとダメになっちゃうっていうのかな？ 心配で心配でどうしたんだろ？　って思う位になっちゃうんだけどな」
「あー……そうだったんですか！？」

　……あ、え？ どういうこと！？　俺がライブに来ないだけで聖修さんはライブに集中することが出来ないってこと！？

　ある意味、今の俺は聖修さんの言葉さえ頭に入っていない感じだ。　もう、もう……俺の頭の中は本当にパニック過ぎて、どうしたらいいのか分からないのが俺の現状だった。

　そう昨日、聖修が隣に引っ越して来てから、本当に俺の人生みたいなのが急に変わって来ているようにも思える。　今まで本当に毎日が平凡過ぎる生活を送っていた筈なのに……聖修が隣りに越して来ただけで毎日が喜怒哀楽で平凡な生活ではなくなってきたようにも思えるからだ。　確かに平凡な生活というのは暇で退屈な日々だった。　ただどん底な生活でもなく天国のような生活でもなくだったけど、聖修に会ってからは幸せな生活を送れているような気がする。　絶対的に俺みたいな一般人には好きなアイドルが自分の家の隣りに住んでくれるなんて事なんていうのは殆ど無いのだから。