も、ふわふわな気分

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も、ふわふわな気分

「ぁ……うわぁあ……!」 そんなことを言われて急に恥ずかしさが込み上げてくる。 「べ、別に……そ、そういう訳じゃ……」 って、人間ってこういう時というのはこう反対のことを言ってしまうもんだ。 そう言われてしまい俺は無意識のうちに聖修から視線を外してしまっていた。 「真っ赤な顔して視線を反らしてしまったら、反対の事を言ってるって事だって分かってしまうよ……」  確かに聖修の言う通りだ。 人間なのだから、そう言うことを言われれば反対なことを言ってしまう人の方が多いって事だろう。 「私はね……。 この業界に入る前にちょこっとだけ、そういう心理学について学んでいたから分かるんだけどね……」 「……へ?」 そう俺は驚いたような表情で聖修のことを見上げる。 「確かにこういう業界っていうのか養成所っていうのか……そういうのは幼い頃だったけど、デビュー前までは、一応、大学に通っていたからね……ま、デビューと同時に辞めちゃったから、大学は中退ってなってしまったけど……。 そう、私は心理学について興味があったから、だから、学びたいと思ってたんだよね……」  なら聖修の前では簡単に嘘はつけないという事になるのかもしれない。 「……ってことは、聖修の前で嘘はつけないってこと?」 「でも、心理学については少しかじった程度だから、深くまで学んだ訳じゃないから安心して……」 そういうことか……。 少しだけ知っているってことなんであろう。  ……なら、良かったと少し安心する。 「ゴメンね……さっきから、中断ばっかりしてて……もう、いいかな?」 「う、うん……」  少し恥ずかしながらも俺は頭を頷かせるのだ。  そして聖修は再び唇に軽く唇を重ねてくきた。  恋人のキスは甘いって聞くけど……本当に甘く感じられる。  でも気付くと聖修の舌が俺の歯列を割ってきて、そしてその舌が口内を動き回り始めた。  唇を重ねられているだけでもなんか気持ちよくなりそうなのに、更に聖修は俺の舌を絡めてきたのだから更に気持ちいいに決まっている。 いやキスだけでは流石に気持ちいい感じではないのかな? どちらかというと、ふわふわとした気分になると言った方がいいのかもしれない。 ふわふわとした気分。 気持ちいいとも温もりを感じられるとも違う気持ちだ。 どう言葉にしたらいいのか? っていうのは言い表すのは難しいのだけど、本当に自分自身がふわふわした気持ちになるっていうのであろうか。 「ん……ぁ……」 もう、それだけでも俺の方はとろけてしまいそうだった。  頭もボッーとしてくる感じもあって、普段の生活の中では絶対にない気持ち良さが、体中を巡っているような気がする。  一人でシてる時とはまた違う快感。 二人でしか味わえない快感だという事だ。  最初は確かにこういうことに関して不安を感じていた俺だったけど、段々と聖修のおかげで快感の渦に溺れていっているのが分かる。  そういう事に関して無知でもいい、ただこうやって好き同士で体をくっつけているだけでも本当に今は幸せなのだから。 だけど聖修の方は更にその上の事を俺にしてくれようとしている。 そこは人間なのだから本能という事なのかもしれないけど。
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