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「金平糖の贈り物には、『永遠の愛』って意味があるんだって」
「欲しいのか」
「やだなあ。でも、好きなんだ。金平糖。お菓子の中では一番」
「……そうか」
次の記念日には、とびっきり良いのを買ってやろう。そう誓った後で、近所の老人から、金平糖は手作りできるのだと教わった。
台所にある鍋の底で糖蜜を繰り返し転がす、なかなかに根気のいる作業。普段、料理などしない身にはこたえた。
だが。ゆっくりゆっくりと育ってゆく星形をじりじり見つめるうちに、愛着が湧いてきて。
完成したものを見せたら、どんな顔をしてくれるだろう。
そんな想像が、何より楽しかった。
練習の成果を披露する機会は、ついに訪れなかったが。
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