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縁日は、いよいよ賑わいを増していた。
夏の長い日もやっとお山の奥に去り、赤い提灯がともる。
行き交う老若男女。浴衣の鮮やかな色たちが、闇によく映える。
人並みの下をくぐってきゃっきゃと走り回る子どもたち。その手には風車。カラカラと小気味よく回っている。
道に向かって並ぶ屋台は赤、黄、緑。ジュージューと何かを焼く音。ソースの香り。ピカピカ光る玩具。種類豊富なお面。
ルカは道の端に寄って、人波を眺めていた。
紺の地の、彼岸花の柄をした浴衣。白い兵児帯を、金魚の尾のように結んで。
花壇のふちに腰掛けて足をぶらぶらとさせていたが、じきに飽きたのか、ピョンと飛び下りる。
桐の下駄をカラコロと軽快にはずませて、どこかへ歩き去っていった。
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