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羽那のせいじゃないんだな〜……
俺なんだな〜……
我慢できずに、フッと口元が緩む。
実は俺が、羽那の鞄にコッソリ私物を忍び込ませているのだ。
羽那があまりに嬉しそうに届けてくれるから、面白くなってつい……
届けたい想いがあふれ出てて、可愛いんだよなぁ……
もうそろそろ、俺が仕込んでいることに気づいてもいい頃だと思うのだが、なにぶん、あの純粋無垢な羽那のことだからな。一生気づかないかもしれないな。とも思う。
つい、「先輩、先輩!」と、満面の笑顔で体を弾ませてやってくる羽那を思い出して、クククっと笑ってしまった。
「まさか!? お前……」
成田が不審の眼差しを俺に向ける。
「……あ、気づいた?」
「お前、やってんなー……」
呆れたようにため息をついてから、成田は面白がるように笑った。
「可愛いだろ? 俺の彼女」
俺がニヤリと笑ってそう返すと、成田はチッと舌打ちをしてから「くっそ……リア充め! バレー馬鹿のお前に……仲間だと思ってたのによ〜……いいなぁ……」と、ブツブツ言いながら自分の席に戻っていった。
俺は、今しがた返してもらったばかりの単語帳を上機嫌でパラパラとめくる。
――ん?
あるページに、薄いピンク色の付箋が貼ってあることに気付いた。
その付箋に書かれている丸い文字。羽那の字だ。
"Yukito is the love of my life♡"
(ユキトは私の最愛の人です)
俺は、両手で顔を覆った。
ヤベぇ……
ニヤニヤがとまらない。
羽那は、ストレートに想いを届けてくれる。
俺はもらってばかりだ。
俺もちゃんと届けないとな……
さて、俺の想いはどうやって届けようか……
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