終幕

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終幕

「いやー、いい仕事したわ」 エフィは両手を天に伸ばし、満足げに首を鳴らした。人間くさい仕草するよなこいつ、と思いながら、マノスも隣で同じように体を伸ばした。 「これ、失敗しなかった、ってだけで、成功って言えるの?」 「え?」 「その天真爛漫な表情で純粋無垢な天使を演じるのやめーや」 エフィはさも心外そうに頬を膨らませたが、何か思い当たったように笑みを浮かべると、頷きながらマノスの肩に手を回してきた。 「キューピッド系天使になっちゃう私に嫉妬してるね?」 「はあ? とっくに試験クリアしてる俺が落第寸前のおまえに嫉妬なんかするかっての」 くるりと回ってエフィの腕から逃れると、小声で呟いた。 「同期のおまえが塵になったらつまんねえからな」 「えっ、なになになに? もう一回言って!」 「言うかよ、ばーか」 聞こえよがしにそう言うと、振り返らないままエフィから離れて飛び去った。その後ろ姿が見えなくなるまで見送り、エフィも翼を広げた。最期の願いを叶える天使が見習いではなくなるのは、まだ先のことである。
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