0人が本棚に入れています
本棚に追加
嬉しさより動揺が上回り、兄を見る。
にこにこ笑い、大成功と言わんばかりの顔。
とりあえず俺のやつは、ショウに隠してもらおう。
そう思い、ショウの方へ視線を向けようとすると、さっきまでいたショウがいつの間にかいないことに気づいた。
「あれ?ショウ?」
兄も想定外だったらしく、あたりを見渡す。
「ショウ〜どこ行った〜?まだハッピーバースティ歌ってないぞ」
するとどこからか光が歩いてくる。
「ハッピーバースティトゥーユー〜♪ハッピーバースティディア兄ちゃん〜♪」
ショウがろうそくに火をつけたケーキを持って出てくる。
「ば、ばか。かぶってるから、いいよもう」
トシが慌てて止めに行くと、ショウは「なんでだよ、やろうよ」と何食わぬ顔でケーキを兄の前まで持っていく。
「え、どういうこと?」
トシ宛のケーキを持っている兄と、兄宛のケーキを持っているショウ。
トシは頭をかく。
「……なんかごめん」
兄を見ると、兄は目をキラキラさせていた。
「えっ、えっ!これって、俺の誕生日ケーキ?やばっ!」
ショウはへへっと笑い、近くのベンチにケーキを置く。
「はい。とりあえず、ここに置くね〜」
そう言ってから、トシのことを手招きする。
「トシからのサプライズケーキ」
ショウが嬉しそうに言うと、トシがベンチに目線をあわせるようにしゃがんでいるショウの隣にしゃがむ。
「失敗したけどな」
兄はベンチのほうへ歩き持っているケーキを、隣に置いた。
ベンチなのに座っているのは、2つのケーキ。
兄も二人の横に腰をおろす。
最初のコメントを投稿しよう!