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大学生の時の先輩と温泉旅行にやって来た。仕事が忙しくて中々休みが取れなかった先輩に、ようやく休みが取れたからだ。
「かー、最高!癒されるわー」
早速、やって来た大浴場の湯船に浸かりながら、先輩が大きな声を出した。
「いやー、気持ちがいいっすねー」
僕は湯船の湯を両手で掬って顔を濡らすと、フーッと大きな息を一つ吐いた。
「しかし、先輩、よく休みが取れましたよね。こんなお盆間近の土日に」
先輩は飲食店の店長をしている。夏休みに入ったこの時期は、いつも忙し過ぎて、
「今、二十一連勤中だぜ、ひゃっほーい!」
と、テンションがおかしなことになっていたのに。一体どうしたことか。
「俺、仕事辞めたわ」
先輩は衝撃の一言を放つと、ザブンッと湯船の中に頭を沈めた。
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