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孤独を知り。
温もりを知り。
愛を知り。
絶望を知った。
どん底に落ち。
何もかも失い。
生きる意味すら失った。
【K】だったら。
【先生】の目に入るところで幕引きにしている。
けれど。
「わたし」には。
「だれ」もいない。
そばに居てくれる人も。
最期を見届けてくれる人も。
本当に「だれ」も居ない。
思い出してしまう面影が。
ずっと笑顔のままちらつく。
もらってばかりの我儘なわたしだったから。
ずっと無理して笑顔を見せてくれていたのだろう。
やっと解放してあげられたのだから。
きっと元の幸せに戻れているはず。
「わたし」はやっぱり。
最期の最期までひとりぼっち。
【お嬢さん】を好きだったはずの【K】は。
なぜ最期の目撃者に【先生】を選んだのだろう。
考えて。
いつも辿り着く答えはたった一つ。
『独占欲』
きっと【K】は。
【先生】のことを愛していたのだろう。
だから。
ずっと彼の記憶に残るように。
あんな幕引きにしたのだろう。
そして結果的に【先生】もこの世から去った。
「わたし」が同じように世界に別れを告げたとき。
誰の目にも止まらずに終えたとき。
いつでもいいからそれを知ったとき。
煌びやかな面影は。
せめて。
涙を流してくれるのだろうか。
「わたし」も。
【K】のようになるために。
もっと早く思い切ればよかったと。
独り心情を吐露しながら。
ぼーっとする意識の中で。
記憶の奥にある面影を想いながら。
幕引きを迎える。
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