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匡に無理やり外に出されて不愉快には思ったが、結果的にジルヴァが喜んでいるのならいいか。 少し先に行っては、しゃがんで何かを見ているジルヴァを見ていた時、「あの⋯⋯」と声を掛けられた。 ふと、顔を上げると前から歩いてきたらしい同年代の女子が立っていた。 パステルカラーのワンピースを着た彼女は、どちらかというと大人しめな印象を受けた。 それにしても、そんな相手が祥也に何の用が。 「あ、もしかして、久須(くす)君⋯⋯?」 「え⋯⋯まぁ⋯⋯そうですけど」 「やっぱり! 久須君、久しぶりだね! こんなところで会えるとは思わなかった!」 「え、はぁ⋯⋯」 ぱっと晴れたように笑いかける女子に愛想笑いにも似た顔で返した。 久しぶりとはいっても祥也は全く憶えていない。そもそも祥也のことを憶えてくれているような同級生がいるとは思わなかった驚きもあるが、それはそれで不都合だと判断した祥也は、その場を離れようとした時、「しょーやーさま!」とジルヴァが駆け寄ってきた。 「さっきみたいなまるいいしとか、さんかくみたいないしとかありました!」 「⋯⋯そ、うか⋯⋯」 「えと⋯⋯、可愛いね、弟くん?」 そこでジルヴァは初めてその女子がいることに気づき、ハッとした顔をして「しつれいしました!」と頭を大きく振り下ろした。 「ジルヴァといいます!」 「じる⋯⋯ゔぁ⋯⋯?」 「弟⋯⋯みたいなものだ」 「そうなんだ。弟君がいたんだね。あ、私はね、詩織っていいます。水井(すい)詩織」 「しおりさまは、しょーやさまとどんなかんけーなんですか?」 「中学時代の同級生だよ」
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