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3.
中学。
「ちゅーがく?」とイマイチぴんと来ていないジルヴァに、詩織が丁寧に説明している中、祥也は一人意識の外へ行っていた。
中学も思い出したくないものばかりだった。
中学に上がっても、いるだけで馬鹿にされたり、サンドバッグのように殴られたり。
そして、小学校の時もそうだったが、給食費を払っていなかったようで、その時間は教室以外で過ごしていた。
今思えば、義務教育なのだから給食費を払っていようがいまいが食べる義務があるのだという。
しかし、当時の祥也がそのようなことを知る由もなく、親に言われたことを真に受けて空腹に耐えながらごまかしていたのだ。
学校にいる間は、親とも思いたくない人の目が届かないところだ。だから、食べたって気づかれはしないのに、どうしてそんな言うことに真面目に従っていたのだろうと、自嘲する。
とはいえども、そんな言葉を真に受けずに食べようと思っても、あんなクラスで食べたいとは思わなかったが。
「久須君、高校はどこに行ったの? 今は何しているの?」
「⋯⋯高校は行ってない。バイトしながら一人暮らしをしている」
こんな話をしても意味ないだろう。
少しでも早く話を切り上げようと、話は以上だと言わんばかりの祥也であったが、「⋯⋯すごい」という呟きによって目を丸くすることとなった。
「すごいね、えらいね。私なんて一人暮らしする勇気もないし、それに親が女の子だから心配だっていうものだから、実家から大学に通っているの」
「その大学も目指していたところだったから、ちょうどいいし」と言う詩織に「⋯⋯そうか」としか返せなかった。
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