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ジルヴァが楽しそうにやや小走り気味でいるのを、後ろから見ていた。 今日はバイトは休み。だから、いくらでも時間がある。 そうであるから、いつものように昼過ぎまで寝ていようとしていた時、布団をひっぺ返された。 「兄貴っ! 休みだからっていつまでもダラダラ寝てんなよっ!」 声を張り上げて言う弟の声に、「⋯⋯うるさ」と耳を塞いで身体を丸めていると、どんっと上に乗っかられた。 「おーきーてーくーだーさーい!」 匡かと思ったそれは子狼のジルヴァで、匡の声量と同じぐらい遠慮なしにバンバンと叩いてくる。 「⋯⋯なんだ、ジルヴァまでも⋯⋯。休みといっても、やることなんて⋯⋯」 「だったら! ジルヴァと一緒にお散歩でもして来いって!」 ──と、匡にそう言われて仕方なくジルヴァと共に外へと出されてしまったのだ。 パジャマ代わりにしているシャツのまま外に行こうとした時、「せめて! 着替えてから!」と怒られたのもついでに言っておく。 昨日は夜遅くまで働いたものだから、寝たのだって遅い。実質寝てないのにも等しいこの身体に日差しは堪える。 そんな祥也とは打って変わって、ジルヴァは普段と変わらない元気いっぱいにその辺の雑草をむしったり、トンボを追いかけてみたり、かと思えば、面白い石を拾ったと見せに来る。 「なんだこれ、表面がすごくつるつるしてる⋯⋯」 「こんないし、はじめてみました! ぺちゃんこいしとなづけます!」 祥也から受け取ったジルヴァは嬉々として言い、「これくしょ〜、これくしょ〜」と鼻歌混じりにポケットに入れていた。 バイトの行き帰りの時もそうだが、ジルヴァは最近その辺で拾った物を『コレクション』するのにハマっているようだった。 外見からすると幼稚園程度だ。その年代らしい遊びだと思うと微笑ましい。
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