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②
現場でシコるという新たな試みを行った泡沢は随分とスッキリとした様子だった。
ガイシャの物であったが、このAV女優は名前は知らなかったが、泡沢のツボだった。
泡沢はガイシャとの好みが合った事に生きていたら話をしてみたかったと思った。
女優の名前を記憶してから泡沢はチンポをパンツの中へ押し込んだ。使ったティッシュは丸めてTVの前に置いてある。ゴミ箱があるにはあったが、まだ完全に鑑識が終わっていない為、捨てる事は憚られた。
泡沢自身、プライベートでシコる事は殆どなかった。
何故なら今日のように殺人事件が起きた場合には、必ずシコらなければならなかったからだ。
例えば事件が起きる前日にたまたまムラムラして自宅なんかでシコってしまった時など、事件当日には何故か犯人に繋がるような証拠に対しての反応が悪い事がしばしばあった。それ以来、泡沢は事件が起きた場合だけシコるようになったのだ。
それを破ると、事件現場では何故か半勃起で、フル勃起してくれなかったのだ。だからこそ泡沢は警部にビンビンか?と尋ねられたのだ。
けれど泡沢はシコっていなかった。ただの欲求不満でビンビンになっていたに過ぎなかった。
一刻も早く現場に行って犯人に繋がる証拠を見つけ出したいという焦りから、泡沢はつい手を抜いてしまったのだ。
おまけに幸か不幸か、ここ2週間程、刑事課が臨場するような事件が起きなかった。
勿論、その間もシコる事はしなかった。
事件が起きた時の為だ。そんな泡沢もさすがに2週間は長かったようだ。いつしか気を抜いてしまいそのあげくが、この失態だ。ただの欲求不満をさらけ出す羽目になってしまった。
だが今はもう大丈夫だ。心機一転で捜査に没頭出来る。
「いけるか?」
警部が丸めたティッシュを捨てるよう指示しなごら泡沢に向かっていった。
「はい。大丈夫です!」
「オッケー。だがその前に一ついいか?」
「何でしょうか?」
「今度からせめてイヤホンかヘッドホンをするように」
「あ、はいっ!」泡沢は顔を真っ赤にしながらそう言った。
「早速だが…頼む」
泡沢は頷き、リビング、キッチン、バス、寝室などを歩いて回った。しかし反応はなかった。
それはつまり犯人に繋がるような物は一つもないという事を意味している。
そんな筈はない。殺害現場が室内であるのであれば必ずホシに繋がる物は見つかる筈だ。
空き巣と鉢合わせたという線も考えられなくもないが、今回のヤマでそれはあり得ない。
マンションに入るにはオートロックで指紋認証が必要だからだ。
おまけにベランダは硬化プラスチックで保護されている。それは室内からしか開ける事は出来ない仕様だ。
となれば必ず手がかりはある。泡沢は気持ちを切り替えてた。だが勃起はしなかった。
「警部、臨場してからこの部屋から持ち出された物はありますか?」
「あぁ。交友関係を当たる為に写真を一つ持って行かせたが。それがどうかしたのか?」
「恐らくそれです。その写真の中に犯人がいる筈です」
「本当か?」
「ええ。間違いないと思います。残りの写真では反応がありません。つまりその他の写真に載っている女性たちは排除して良いと思います」
「つまり、持って行かせた写真に写っている人物以外はホシから排除出来るってわけか」
「はい。勃起しないので間違いないと思います」
「わかった。今すぐ連絡を取り戻って来させよう」
警部の電話で戻って来た三田達は残りの写真と見比べた。泡沢は思った通りだと言わんばかりに、警部に向かってこう言った
「警部、ビンビンです!」
警部は満足げに泡沢を見て頷いた。
ホシは3人に絞られた。そしてその3人の身元を洗い出す為に泡沢や三田は現場を後にしたのだった…
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