剣聖の称号と聖剣の真実

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 互いに向かい合い、睨みあう両者……  やがて沈黙の時が終わり、遂に剣聖が動きを見せた……  いや、正確には…… 「……手が、震えている?」  ホゥクンの眼には、剣聖の剣を握る腕がぶるぶると震え始めたのだ。 「……何か、技の出る前兆か!?」  ボルドが見極めようとした瞬間、ホゥクンが…… 「……終わった」  そう言って、剣を鞘に収めたと同時に、剣聖ロウガが「あっ」という声とともに剣を取り落としたのだ。 「いったい、何が起きたのでしょう……」 「いつの間に戦いが……!?」 「ホゥクン、何かしたの!?」  リーヴェン、ハミル、アイラが口々に問うが、当のホゥクンは…… 「いや、俺は何もしていない……」 「じゃあ、何が起きたのだ!?」  と、詰め寄るボルドを他所に、ホゥクンは半分呆れたように…… 「貴殿は確かに剣聖と呼ぶべき御仁であったが、せめて、生前に相対してみたかった」
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