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〈剣聖の試練所〉入り口前――
「おい、入り口が開くぞ!」
「すぐに配置につくんだ!!」
「俺、どこに立っていたっけ……」
石造りの扉が音を立てて開くのを見た手下たちが右往左往する中、白コートの男は落ち着き払い、
「慌てるな! 兎に角、俺を中心に集まれ!!」
と、輪になった手下たちの中心に立ち、改めて細身の長剣を抜き、それを地面に突き刺す。
「では、[邪霊マガツマの登場]と行きますか……」
そう言って、初老の男――イトゥワルーが派手な杖の見た目をした〈幻術の錫〉をかざし、白コート男の突き刺した剣に合わせて邪霊の幻覚を重ねる。
「よし、段取り通りに展開するぞ!」
その合図と同時に、全員がさも[疲弊している]かのように肩で息をするような動作を見せる。
「まだか……剣が届かなければ、邪霊が解き放たれて世界が滅ぶ!!」
と、これ見よがしに叫ぶ白コート……
そして、賊が待ち焦がれた瞬間……
扉が開き、姿を現した[存在]に絶句する……
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