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ジュークボックスをほとんど独占する形で曲をかけていたことを少々申し訳なく思った彼女たちは、時々レコードを買っていった。
その日は千夏が「今日を生きよう」を買った。歌詞カード付きなので、英吾の歌詞を空でおぼえて歌えるようにすると張り切っていた。
レコードはCDの登場で衰退し過去のものとして消え去るかに思われたが、そのアナログ特有の魅力ゆえに、人気が再燃して復活した。
GSブームは70年代に入ると王者ピューマズの解散とそれと前後して流行に乗じて登場した数多のバンドも相次いで解散し、完全にブームの終焉を迎えた。
そしてジュークボックスは、カラオケやCDの出現によって追いやられ、80年代には忘れ去られた存在になった。
世の中は移り変わり、加奈、千夏、弓枝の仲良しトリオもつながりは保ちつつもそれぞれに人生の道を進み、毎日のように会って談笑していた中学の頃は遠ざかった。
それでもあの古き良き時代の思い出は、あの頃の曲とともに甦る時を待っていた。
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