踊り場で踊れない

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叫びを聞き付けて教師たちが来た。 たぶん教室に居ろと命じられたであろう生徒たちも来た。 それでも真乃くんは動じなかった。 「顔に直接、書いてあるんじゃないよ。 美央さんが幽体で書いたんだ。 鏡で見ても崩れないよう、左右対称の文字で。 いま意識不明の彼女が、俺のところに来たんだよ。 妹の悪事を暴いて欲しいって、だから俺は話しを聞いた。 そんで、言った。念を込めて何か真央さんにしてやれって」 それが。 それが、顔に、文字を書き込む? 「美央が、美央が......?あの頭の悪い美央が? 特に漢字が大の苦手で、いちいちスマホに打ち出さないと書けない、 あの、大馬鹿の美央が!テストで赤点まみれの美央が? あぁ、そうか『ろ』は、左右対称の文字って探しにくくて、 それでカタカナの『ロ』なんだ?あはははっ、やっぱり馬鹿!」 みんな階段の上から見降ろしている。 踊り場で座り込んでわめいてるあたしを。 そりゃそうだろうね。 ずーっと、良い子ちゃんしてきたから。 成績優秀、品行方正、ときに弾けてやらかす美央にはなりたくなくて。 あたしは、ずっと、ずっと、生真面目な真央でいたから。
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