踊り場で踊れない

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「進路相談の面接のときに、先生が言ったのよ。 『東大をすすめられた?でも他のほうが無難じゃないかな?』って。 それを聞いたときはホッとした。東大に進学した生徒のいる高校。 そういう『売り』を、学校側が作りたいだけだって、わかってたから。 でも、そのあとに言ったのよ。 『そういえば双子の、もうひとりは成績は酷いらしいね』って。 そしてこう付け加えた『まあ女は顔が良い方が将来は特するよ』って」 生徒たちが大きくざわめいた。 「い、言ってない、そこまでは言ってない!」 咄嗟に取り繕うこともできない馬鹿教師。 言ったということ自体を認めてしまった。 「なにそれキモイ」 「でも顔はいいほうが確かに特だろ」 「それなら顔は同じで頭いいほうが特じゃん」 「っていうか、東大生を出したガッコ―にしたいワケ?」 「やっだーっ!逆にカッコ悪いーっ!」 野次馬している生徒たちが別の方向性でも騒ぎ出した。 「そのセンセー、俺にも有名大学に行けってさ、うるさかったよ」 真乃くんが、さりげなく紛れ込んできた。 そんなこと言ってる場合じゃないのに。
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