踊り場で踊れない

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「電話、出てみなよ。たぶん家族から」 真乃くんが言う通りだった。 自分でも驚くほど冷えた指先でスマホを操作したら......。 病院に居る母からの報せだった。 美央が意識を取り戻したと叫びに叫んでいた。 「嬉しくなーい!」 棒読みで叫び返して電話を切った。 「目を覚ましたなら、もう一度、殺す!」 スマホを踊り場の床に投げつけながら怒鳴った。 教師も野次馬生徒たちも引いていたけど、真乃くんだけは踊り場へと 下りてきて、あたしのスマホを拾って差し出してきた。
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