踊り場で踊れない

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「美央さんは、真央さんをうらやましがってた。 自分は勉強ができなくて悔しいって。 あのさ、命は助けるけど、姉妹喧嘩は勝手にやってくれ」 そう言いながら真乃くんは、階段を上っていこうとして立ち止まって 振り返った。 「美央さんが言ってたから、伝えとく。 『妹を殺人未遂罪にする気は無い』だそうだよ」 美央が?美央が......。 「そんじゃあ、あとは知らん」 真乃くん......。 真乃くんが階段をどんどん上っていく。 同じクラスになる前から、なんだか気になってた相手。 それは、もちろん恋愛的な意味ではなく。 いつも自由で気ままに見えていたから。 そんな彼が、髪を揺らして跳ね上げて行動していく美央に似てて。 憧れと逆恨みが同時だったから。 それなのに。 悲しい過去? 人って、わからないね。 当然か。 他人だもんね。 ううん、わかんない。 同じ日に生まれた相手のことさえ、わからない。
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