ワンマン!

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真乃くんが、こんな時間まで居る申し訳なさと自身の空腹を 満たすために、パンケーキを注文した。 「ホントはもっとちゃんとした飯にしたいけど、店員さんには 負担かなあって」 そういう言葉がでるあたりが、真乃くんの長所だ。 細面で切れ長の目で、笑うと横に広がる口。 キツネ顔と言われるし『うさんくさい顔』と、自分から言うけど 周囲は理解している。 真乃くんは頭の回転が早くて機敏で、瞬時に正しい判断ができると。 そして。 音楽とライヴに対する真っすぐな愛に満ちていると。 だからこそキミキヨさんは、彼に話すのは抵抗がなかったらしい。 「とにかくさ、この件に関しては推し三人に任せてよ。 キミキヨさんはライヴの準備に専念してほしいし。 それにセリトさんはCD発売で忙しい時期なんでしょ? それから恋人ちゃんの誕生日のお祝いしなきゃでしょ?」 「おい、まて、最後のそれ!なんで知ってんだ!」 「本人に聞いた。あ、大丈夫、誰にも話してないよ」 「えぇっ!そんな風にみえなかった。でも、お似合い」 キミキヨさんが自身の危機のなかで純粋に微笑んだ。 「いや、あの、えっと......ま、まず、それは置いといて、 真乃くん、俺のことも心配してくれてありがとう。 それで?推しだけで解決させるって、誰と誰? 真乃くんが選ぶなら信頼できるけどさ」 「俺と、菜の花 (なのはな) ちゃんと、それから」 と、真乃が僕のほうを見てきた。 へ?僕ですか? えぇぇぇぇぇぇぇぇっ!
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