ワンマン!

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9月18日。 「いやあああああああああああああああああああ!! 怖いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」 集まる場所をカラオケルームにしたのは正解だった。 なにしろ騒音があって当然の場所なので。 キミキヨさんが『探偵さんたち好きに使っていいよ』と コピーもせずに渡してきた原文を見た瞬間......。 菜の花ちゃんは叫んで手紙から手を離して、怯えて 床に、しゃがみこんでしまった。 真乃くんが手紙を拾い、菜の花ちゃんへと片手を差し出した。 彼女は戸惑いつつ、手を握り、起こしてもらった。 「あああ、ありがとうございままま......」 菜の花ちゃんは、気弱で小心者で、小柄で細くて、目が小さくて ショーカットが似合ってて、それで小動物みたいな可愛さがある。 そして、僕や真乃くんのように複数の推しがいるタイプじゃなくて キミキヨさん一択の推しだ。 そういうところも、けなげで可愛い。 実はキミキヨさんに言われていた。 『菜の花ちゃん、こんなの見たら、泣きだすんじゃないかな? 彼女の精神的なブレとか、そういうところは守ってあげてほしい』 そう言われていた。 菜の花ちゃんはキミキヨさんに『うちの推しでは最大最強!』 そう言われていた。
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